2020S [1巡目]他者排除2
2020-05-18
9k172-196
Zoomで10:25に開始します。ITC-LMSとSlackに場所を掲げています。
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コスト割れ 9k174-
前回やったところも簡単に繰り返して
略奪廉売系における重要な違反要件
費用以上の価格を常に合法化し安心させる
行為者と同等以上に効率的な競争者の排除のみを問題とする
行為者がコスト割れ販売をして初めて排除できるような者のみを保護
コスト割れがあるだけでは違反とならない。
行為者の価格 < 行為者の費用
価格
コストコの例
費用(コスト)
日本には違反類型が2つあるのでガイドラインも2つある。さすがに内容は揃えているが、用語が違っている。次の2つは同じもの。
「廉売対象商品を供給しなければ発生しない費用」
「可変的性質を持つ費用」
9k176-179の記述は、次の3つの点を理解すると、読みやすくなるかもしれない。(まずは9kを見ないで)
① 費用には、次の2つがある。
「可変的性質を持つ費用」
「それ以外の費用」
② 費用基準には、次の2つがある。
「可変的性質を持つ費用」
これを下回ると、厳しめの法的対応
>「仕入価格」図は少し下に
「平均総費用」
これを下回れば違反の可能性があるが、取り上げられる可能性は低い。(言い換えれば、排除効果の認定がされにくい。)
=「総販売原価」
③ 「可変的性質を持つ費用」は、「平均回避可能費用」の近似値を簡単に得るための便法である。
「平均回避可能費用」は、普段は200個売れるものが廉売で450個売れた場合、「250個を売るために必要となった費用/250」
「可変的性質を持つ費用」は、そのような場合の「450個を売るために必要だった費用/450」
9k176-179を読んでいきましょう。
価格と仕入価格と可変的性質を持つ費用の図
https://gyazo.com/15d7b158b93a3528b0365093d50b1c40
11:03
コスト割れの関連論点
内部補助 9k179-180
激しく競争している部門に、儲かっている部門から、お金を流す
激しく競争している部門から、儲かっている部門に、請求書を回す
そのような、お金や請求書の流れを無視して、価格と費用を比べることになっている。
https://gyazo.com/670a3dd43071cbeba8d7fa5aab7eb5df
差別対価事案におけるコスト割れ要件の要否
曖昧なままとされている。
差別対価でなく排他的取引と構成される場合
北海道電力戻り需要事件で質問が出た。
排除型私的独占ガイドライン第2の3(3)(リベートに関する記述)
継続して
本来は排除効果のなかに合流すべき要件
排除効果
9k182のとおり
競争変数が左右される状態
排除効果重視説なら不要
原則論貫徹説なら必要
米国で「埋合せ可能性要件」と呼ばれている。(recoupment)
正当化理由
公共性
「きずもの」「B品」「型落ち品」
正当化理由があるからではなく、多くの場合は排除効果がないから、許されている。
因果関係
並行的廉売
安値入札
2巡目で
Q
176ページの、「廉売対象商品を供給しなければ発生しない費用」(可変的性質を持つ費用)と、それ以外の峻別がいまいち理解できていません。。
shiraishi.icon
授業内容を反芻してもわからない場合は、例えば、公取委の不当廉売ガイドラインのページ内で「可変的性質を持つ費用」を検索して、ヒットする箇所を読んでみてください。
この場合、抽象的な言葉は具体的にイメージしてみる。例えば、「運送費」と書いてあったら、アウトソース先の配送業者の人が運んでいるところをイメージする。
こんな感じ
https://gyazo.com/94381ae5df7f17fde387d72db879b391
費用基準の所の「仕入価格」とは、教科書p176の「仕入原価」と同じ意味ですか。
shiraishi.iconはい、同じです。
仕入原価とは,仕入価格(注6)と,運送費,検収費等の仕入れに付随する諸経費との合計額である。仕入原価は,販売業者が,ある製品について廉売を行った場合に,当該製品の供給と密接な関連性を有するものとして算定される費用項目であり,その性格上,特段の事情がない限り,可変的性質を持つ費用と推定される。仕入原価のうち仕入価格は,可変的性質を持つ費用となる。
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11:31
9k184
抱き合わせ
言葉
主たる商品役務(tying product)
従たる商品役務(tied product)
次の2種類の「法的観点」がある
不要品強要型 → 搾取(優越的地位濫用)
他者排除型
検討対象市場は、従たる商品役務の市場
他者排除型は取引拒絶系と本質的には同じ
9k188の2つの図
行為要件
従たる商品役務をあわせてでなければ主たる商品役務を売らない
排除効果
従たる商品役務について他の供給者がどれだけ不利益を受けるか、に尽きるが、次のような場合は満たしやすい。
行為者の主たる商品役務についての力が強いほど
抱き合わせられる従たる商品役務の量が多いほど
正当化理由
不適格なものの排除
効率性
セット割引とマージンスクイーズ
この2つは本質的には同じもの
9k190の図と9k191の図
セット割引のみで解説
「割引総額帰属テスト」
https://gyazo.com/69b6ef4f144079580618783e290579b5
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一般指定14項
1巡目では、次の2点のみ
反競争性がなくとも不正手段を根拠にして弊害要件を満たす場合がある
誹謗中傷
ドライアイス
ワンブルー
物理的妨害
神鉄タクシー
複数類型の行為の組合せで排除効果が起こり違反となる場合がある
ヨネックス
全体として一つの他者排除行為と考える
アフターマーケット
2巡目で
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連絡事項
いつものように、感想・質問をお寄せいただけると有難いです。
成績評価の方法については、遅くとも6/1(月)には、お知らせします。研究科の大枠の方針が5月末日までに出る予定になっており、それを確認してから決めたいと思います。
次回(5/21(木))から、Zoomの「ウェビナー」でなく「ミーティング」にすることを考えています。少なくともゲスト回(5/23など)に発言しやすいようにという趣旨。カメラオフのまま、マイクオンがあり得る、という運用。
下記のように、原悦子先生に対する質問も募集します。木曜にいただければ十分です。
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5/23(土)2限は、
前半は質問タイム
後半(11:10頃から)は原悦子先生をゲストにお迎えして、主に、いつもの常勤専任実務家教員としての立場というより、競争法弁護士としての立場から、質疑応答にお付き合いいただく予定です。
そこで、
原先生に対する質問を、5/21(木)20:00までを目安として、お送りください。あらかじめ整理して、原先生にお答えの準備をしていただきます。
例えば、
事務所ウェブページの略歴をみて、きいてみたいこと
一般的な質問(例:独禁法弁護士にきいてみたいこと)
質問タイム用の質問は、あらかじめでもよいし、その場でもいいです。